最近三橋に彼女ができた。
バッテリーの俺としては、女にうつつぬかしてんじゃねぇ!という気持ちだが、三橋は投球中も浮かれたりしないし、特別問題は無いようだ。名前をというらしいが、そいつも野球好きらしく、三橋の投げてる姿を見て惚れたらしい。全て田島から聞いた話だ。告白も向こうから。だが、三橋もが好きだったらしく、自然な形でカップルになり、がリードのデートも何度かしたらしい。確かに、三橋がデートをリードできるとは思えないが、はあんなきょどりまくりの男が彼氏でいいのだろうか。
とか考え事をしながら三橋の球を受けていたら、モモカンに怒られた。もちろん練習後だったから、三橋を待つがフェンス越しで笑っていた。
「廉!ゆっくりでいいよ!待ってるから!」
「う、うん!」
えへ、といつものようににやけながら、三橋は片付けと着替えをする。一足早く着替え終えた俺は、と少し話すために、先に部室を出た。
「三橋、もうすぐ来ると思うけど」
「あ、阿部くん!ありがとう」
「俺のこと知ってるんだ」
「え?あ、廉からいつも聞いてるよ!すごくいい人だって!」
「そう。俺も三橋から聞いてるよ」
「そっか。なんか恥ずかしいなー」
「あのさ」
「え、何?」
「三橋が彼氏でいいわけ?」
「…え、どーゆーこと?」
「三橋ってさ、きょどり方激しいじゃん。そーゆーの、彼氏にするってどーなのかなって、思うんだけど」
「うーん、私ね、廉のそーゆーとこも含めて、全部がすきなの。だから大丈夫だよ」
「…そうなんだ」
会話が終わると同時に、三橋が来た。
「お、待た…せ」
「ううん、待ってないよ」
「あ、べくんも、かえる?」
「そうだね、一緒に帰る?」
「あ、俺は他のやつら待ってるから」
「そ、か」
「うん、それじゃあばいばい」
「ばい、ばい」
「ああ」
手を少しだけ上げて、並んだ二人を見る。
俺は、気付いちゃいけない気持ちに、気付いてしまった。
俺はが好きなんだ。
君のすべてを
僕が独占したい