「はい、さんお茶です」
「ありゃぱっつぁんありがとう」
「ぱっつぁんって何!?」
第二訓 ペットは飼主が責任を持って最後まで面倒を見ましょう
時がたつのは早いもので、新八が万事屋にきてからもう半月がたった。
毎月恒例のお登勢さん襲撃事件で生活費も奪われました。
「どーすんスか、生活費まで引っ剥がされて…」
「お登勢さん襲撃事件は突然やってくるからねー」
「からねーってアンタのんきだなァオイ。今月の僕の給料ちゃんと出るんでしょーね」
「なんとかなるって」
「アンタはホント楽天的だなァ!」
考え込んでいる銀。
「腎臓ってよォ、二つもあんのなんか邪魔じゃない?」
「売らんぞォォ!!何恐ろしいこと考えてんだ!!」
「腎臓はね、二個あってこそ腎臓なの!片方売っちゃったら腎臓じゃないんだよ!」
「じゃあなんなんだよ!腎臓じゃなくてなんなの!?って、銀さん聞ーてんの?」
テレビがなかなか映らず、叩く銀。
そろそろ買い替え時かな…。あ、お金ないんだった。
「あっ、バカ!そこじゃないって!このテレビはココ叩くの!」
「アンタも人の話し聞ーてる!?」
テレビがつくと、宇宙生物侵入のニュース。
「宇宙生物より今はどーやって生計たてるかの方が問題スよ」
「それはいえてる。今月の食費どーすっかなー」
「さんも大変スねー」
「うん。大将があんなプーだしね」
「プーじゃねえよ、ただ働きたくないだけ」
「だからプーだっつってんだろ働け」
「酷ォ!ちゃん酷!何、反抗期!?」
ピンポーン
玄関のチャイムがなる。
「オイ天パーいってこい」
「ちゃーん!?キャラ崩壊してますけど!?」
なんだかんだで玄関に向かう銀。
「金ならもうねーって言ってんだろーが腐れババア!!」
うるさい。
というか仮にも家かりてんだからお登勢さんに対してもっと礼儀正しく接するべきだと思う。
まあ、銀に言っても無理な話しだけど。
「おーい、お前ら、仕事入ったぞー」
「おー、久々」
どうやらさっきのお客はお登勢さんじゃなかったようです。
「入国管理局の長谷川泰三っていったら天人の出入国の一切を取り締まってる幕府の重鎮スよ。そんなのが一体何の用でしょう」
「「何の用ですかおじさん」」
「ストレートなやつらだなオイ」
「万事屋っつったっけ?金さえ積めば何でもやってくれる奴がいるって聞いてさ。ちょっと仕事頼みたくてね」
「仕事だァ?幕府仕事なんてしてたのか。街見てみろ、天人どもが好き勝手やってるぜ」
「こりゃ手厳しいね。なんせ江戸がこれだけ進歩したのも奴らのおかげだから。おまけに地球をエラク気に入ってるようだし、無下には扱えんだろ。地球から奴らを追い出そうなんて夢はもう見んことだ。俺たちにできることは奴らとうまいこと共生していくことだけだよ」
「共生ねェ…、んで、俺にどうしろっての」
「俺らね?」
「ああ、俺たちもあまり派手に動けん仕事でなァ。公にすると幕府の信用が落ちかねん」
大変そうな仕事はいやだなー…。
いっとくけど私は切腹なんて絶対しないからね。
「余のペットがいなくなってしまったのじゃ。探し出して捕まえてくれんかのォ」
車を降りたら、そこにはバカがいました。
「オイぃぃぃ!!ちょっと待てェェェ!!いやわかるよ!わかるけどやって!頼むからやって!」
「うるせーなグラサン叩き割るぞうすらハゲ」
「ああハゲでいい!!ハゲでいいからやってくれ」
金借りてるからやばいだの、事情を話すハゲ。
「しらねーよそっちの問題だろ。ペットぐらいで滅ぶ国なら滅んだ方がいいわ」
「同じく」
「ペットぐらいとはなんじゃ。ぺスは余の家族も同然ぞ」
「だったらテメーで探してくださいバカ皇子」
「オイぃぃ!!バカだけど皇子だから!!皇子なの!!」
「アンタまる聞こえですよ」
「コイツもバカだ」
そんなとき、バカのペットが現れた。
え?ぺス?ぺス!?
「ぺスぅぅぅ!?ウソぉぉぉぉ!!」
「ぺスじゃねーよあんなの!ぺスっつーかもう…ぺスじゃねーよ!」
「何が言いたいのちゃん」
「ちょっ、銀!?」
巨大タコっぽい宇宙生物に向かって走り出す銀。
「、しょう油買ってこい。今日の晩ごはんはタコの刺身だ」
「よっしゃ食費浮いた!」
「食費の問題じゃねーよ!あんなの食べれねーだろォォ!!」
「いただきまーす」
「させるかァァ!!」
長谷川ハゲの足に引っかかり、勢いよく地面に頭をぶつける。
あー、これ以上ばかになったらどうしよう。
「いだだだだだ!!何しやがんだ!!アレ?脳ミソでてない?コレ。ちゃんちょっと見て」
「やだ」
「無傷で捕らえてくれって言われてんだよ!」
「無傷!?できるわけねーだろ!」
「だからアンタら呼んだんだよ!」
「うわァァァ!!」
「えっ、ちょっ、いやァァァ!!」
タコの足に捕まった私と新八。
「!新八ィィ!!」
「ちっくしょ、離せタコがァァァ!!」
口元にもっていかれる私。
こんなところで食われてたまるかっての。
「…オイコラタコ。離せや」
何故か離してくれたタコ。ちゃん快挙!やったね!
新八救出のために攻撃する銀。すぐに血の雨が降ってくる。
「げっ、血だらけ」
「さんだけなんで逃れてるんスか」
「いやあ、ちょっとねー!」
あっはっは、と笑う私の後ろで、長谷川さんがバカ皇子を殴る。
「あ〜あ!!い〜のかな〜んなことして」
「知るかバカタレ。ここは侍の国だ。好き勝手させるかってんだ」
「でももう天人取り締まれなくなりますね。間違いなくリストラっスよ」
「え?」
「バカだな。一時のテンションに身を任せる奴は身を滅ぼすんだよ」
「やっぱこの人バカだ」