池田屋での一件から三日。

その間、ずっと警察で取調べでした。

…最悪。

ついでに脱獄犯にも捕まるし、もう踏んだり蹴ったりです。



















第七訓  一度した約束は死んでも守れ
















「みなさーん。今日はお通のライブに来てくれてありがとうきびウンコ!」

















…………どういうこと銀


知らん。…なんだよコレ


「今人気沸騰中のアイドル寺門通ちゃんの初ライブだ」

















てめェェェ人生を何だと思ってんだ!!!

そのとーりじゃボケェェェ!!!


























銀のかかと落としと私の回し蹴りは脱獄犯のおじさんにきれいに決まった。



























「アイドル如きのために脱獄だ?一時の享楽のために人生棒にふるつもりか。そんなんだからブタ箱にぶち込まれんだバカヤロー」

「一瞬で人生棒にふった俺だからこそ、人生には見落としてならない大事な一瞬があることを知ってるのさ。さあ楽しもう!!」



























騒ぎ出すおじさんに少々呆れ顔の私たち。



























「やってらんねェ。帰るぞ、、神楽」

「うん」

「え〜、もうちょっと見たいんきんたむし」

「影響されてんじゃねェェェェ!!」





























「ここの空気すごいね」

「ああ。なんかあつくてくさい気がする」

「うん。…あれ?」

「あ?」

「あれ、新八じゃない?」




























指さした先を見た銀がおどろく。

























「!」

























そこには、隊長と呼ばれる新八の姿。

























「オイ、いつから隊長になったんだオメーは」























「俺は生まれたときからお通ちゃんの親衛隊長だァァ!!」


























「おおっ、いつになく強気!!」





















「ってギャァアアア!!銀さん!さん!なんでこんなところに!?」

「こっちのセリフなんだけど」








「てめーこんな軟弱なもんに傾倒してやがったとは。てめーの姉ちゃんになんて謝ればいいんだ」

「僕が何しようと勝ってだろ!!ガキじゃねーんだよ!!」




























何?反抗期?

とか思っていると、隣から声をかけられた。




























「ちょっとアナタたち。ライブ中にふらふら歩かないで下さい」

「スンマセンマネージャーさん。俺が締め出しとくんで」

うわー

「やってみろやコラ」

「あぁ、親衛隊の方?お願いするわ。今日はあの娘の初ライブなんだから、必ず成功させなくては…」




























そこでマネージャーさんは、脱獄犯のおじさんに気付いたらしい。

























「………!!アナタ…?」

「へ?アナタ?」



























どうやらマネージャーとおじさんは夫婦(元?)だったみたいで、何やらわけありらしい。

銀はおじさんの所に行った。

私はというと、今なおライブで騒ぐ神楽の隣で保護者の役をしていた。
























「お通ちゃ〜〜〜ん」

























突然、親衛隊の会員の1人だったらしい天人が、暴走を始めた。

























「何アレ!!」

「多分食恋族アル!」

「え、あの!?…神楽、銀とおじさんに伝えてきて!!」

「分かったネ!」




























天人の暴走をとめに行こうとはするものの、混乱する客の中を進むのは大変。

天人の手が、お通を捕らえようとしたとき、変装したつもりらしいおじさんが、お通をかばった。




























「いけェェ!!僕らもお通ちゃんを護れェ!!」

























新八の声と同時に私も天人にとび蹴りをくらわす。

横から、戻ってきたらしい銀と神楽も攻撃する。

巨大な天人が倒れると、ものすごい音がした。




























「おっさん。そんなもんしか見つからなかった。百万本には及ばねーが、あとは愛情でごまかして」



































「何?百万本って」

「あー、昔な、約束したんだとよ」

「ふーん」



























扉から出てきたおじさんは泣いていた。


























「よォ、涙のお別れはすんだか?」

「バカヤロー。お別れなんかじゃねェ。また必ず会いにくるさ。…今度は、胸張ってな」

「まあ頑張ってね」

「おうよ」




























その日の夜。

私は誰に言うということもなく、「親子か…」と呟いていた。


























銀が聞いているとも知らずに。