「ったくあのガキ…!つーか子守ぐらい自分でやれっての!あー疲れた…。ただいまー!」
家に入ると、でかい犬に頭かまれて変に融合している銀がいました。
「…何やってんの?」
「た…助けて」
第十訓 疲れた時には酸っぱいものを
「へえ、あれ定春っていうんだ」
「そうアル。ってことで、遊んでくるネ!!」
「あ、うん。いってらっしゃーい」
私たちは今、公園にいます。
あ、私たちっていうのは、私、銀、新八、神楽、そして犬の定春です。
いやー、やっぱり可愛いな犬って。
「ってアホかァァァァァ!!なんじゃありゃ!!犬!?どのへんが犬!?アレか!スモールライトでミニ化したら犬か!略して犬か!!」
「落ち着いてくださいさん。そんなのが略して犬だったら世界中どこ探しても犬はいません」
「定春う〜!!こっち来るアルよ〜!!」
神楽は楽しそうです。
「いや〜、すっかりなついちゃって。ほほえましい限りだね新八くん」
「そーっスね。女の子にはやっぱり大きな犬が似合いますよ銀さん」
「僕らにはなんでなつかないんだろうか新八くん」
「なんとか捨てようとしているのが野生のカンで分かるんですよ銀さん」
「なんであいつにはなつくんだろう新八くん」
「なついてはいませんよ銀さん。襲われてるけど神楽ちゃんがものともしてないんですよ銀さん」
「なるほどそーなのか新八くん。じゃあなんでちゃんにはなつくんだろう新八くん」
「それはさんだからですよ銀さん」
「なんでだよ!何で私だけそんな理由!?」
「そうなのか新八くん」
「うぜーよ!お前らのやりとりはもういいよ!!悪かったね私だけ包帯ぐるぐるじゃなくて!!」
そこで戻ってきた神楽。
「楽しそうだなオイ」
「ウン。私動物好きネ。女の子はみんなカワイイもの好きヨ。そこに理由イラナイ」
「…アレ、カワイイか?」
「カワイイヨ!こんなに動物懐かれたのはじめて」
定春の頭突きにとばされる神楽。
「神楽ちゃん、いい加減気付いたら?」
「同感」
「私、昔ペット飼ってたことアル。定春一号。ごっさ可愛かった、定春一号。私もごっさ可愛がったネ。定春一号、外で飼ってたんだけど、ある日私、どーしても一緒に寝たくて、親に内緒で抱いて眠ったネ」
え…まさか。
「そしたら思いの他寝苦しくて、悪夢見たヨ。散々うなされて起きたら定春…カッチコッチになってたアル」
やっぱりー!!!
「あれから私、動物に触れるの自ら禁じたネ。力のコントロール下手な私じゃみんな不幸にしてしまう。でもこの定春なら、私とでも釣り合いがとれるかもしれない…。これ、神様からのプレゼントアル、きっと…」
…神楽…。
「あ、酢昆布きれてるの忘れてたネ。ちょっと買ってくるヨ。定春のことヨロシクアル」
「あ、私も行くー」
「オイ、ちょっとまっ…」
駄菓子屋で、私は飴、神楽はいつもどうり酢昆布を買った。
「ねェ神楽、酢昆布飽きない?」
「飽きないヨ。だっていっつも飴アル」
「私は味変えてるもん」
「…あ!」
「何ー?」
「あの車の上!定春が捕まってるアル!!」
「えっ?あ、ホントだ!!」
「私行くアル!」
「うん!私も!!…ん?あ、神楽!先行ってて!!」
「?分かったアル!」
神楽は車を追いかけて爆走していく。
私はその逆の方向に走った。
「新八ー!」
なぜ逆かというと、新八が道路に転がってるのが見えたから。
「…さん」
「大丈夫?何、どうしたの?」
「はねられました」
「あらまぁ…動ける?」
「足…折れたかも」
「…はァ…。肩つかまって。てゆーか背中に乗って」
「はィ!?」
「だから病院連れてくから早く乗って」
「でも…」
「アンタ私がたかが15.6の男乗っけただけでつぶれると思ってんの?」
「え、いやそれは」
「乗れ。さもなくばひきずる」
「乗ります!すいません!」
「わかりゃいーのよ」
結局、新八は入院。まァ定春も無事に帰ってきたし、いっか。
…ん?定春…!?
飼うの!?