「もしもし万事屋銀ちゃんでーす。…はぁ、はい、分かりました」

「何ーちゃん」

「依頼入ったよー、今から」

「今ー…?俺昨日の酒で二日酔い…」

「はーい全員行きますよー。大体昨日は私も一緒に飲んだでしょー?なんでアンタだけ?」




























第十二訓  右見て左見てもう一度右を見て…っていうぐらいなら左も見とけ



























「こんにちはー!万事屋ですけど…」




































「…いや、今までも二日三日家を空けることはあったんだがね、さすがに一週間ともなると…。親の私が言うのもなんだが、キレイな娘だから…。うん、君と同じかそれよりキレイな娘だから、何かよからぬことに巻き込まれているのではないかと…」

「へー」




























写真を見る。


























「…この娘さんと私、どう似てる?新八、銀?」

「……」




























失礼にも程があるっつーの!

そこから先は獅子おどしを見ている神楽の横に行っておとなしく恨んでいました。

せっかくの仕事をパーにするのはもったいないのでとりあえずバーに行って捜索。




























「あー?知らねーよこんな女」

「ねえ、その写真の女、私と似てる?」

「さーん、アンタはちょっとこっち来て下さい」

「…だって腹立つじゃない!私とハム子が似てるってどーゆーことよ!同格ってどーゆーこと!?」

「誰も似てるなんて言ってませんよ。てかハム子って…。ちょっと銀さん、神楽ちゃんに任せてても仕事終わりませんよ」

「あー、もういいんだよ。どーせどっかの男の家にでも転がりこんでんだろあのバカ娘…。アホらしくてやってられるかよ。ハム買って帰りゃあのオッサンもごまかせるだろ」

「ごまかせるわけねーだろ!アンタらどれだけハムでひっぱるつもりだ!!」

私はそのハムと同等なんだ…私は…

「ワリーけど二日酔いで調子ワリーんだよ。適当にやっといて。それとちゃん慰めてあげて新ちゃん」

「ちょっ…銀さん!!」



























どこかに行く銀を追おうと立ち上がる新八に、天人の男がぶつかった。

























「あ、スンマセン」

「…小僧、どこに目ェつけて歩いてんだ」




























天人は手を伸ばす。



























「新…」

「肩にゴミなんぞ乗せてよく恥ずかしげもなく歩けるな。少しは身だしなみに気を配りやがれ」

























天人はそういって、どこかに行ってしまった。



























「新八〜、〜!」

「んー?見つかったー?……………は?」

「もう面倒くさいからこれでごまかすことにしたヨ」

どいつもこいつも仕事を何だと思ってんだチクショー!!




























神楽が連れてきたのはハムっぽい男。



























「大体これでごまかせるわけないだろ。ハム子じゃなくてハム男じゃねーか!」

「ハムなんかどれ食ったって同じじゃねーかクソが」

何?反抗期?




























突然、ドサッという音と共にハム男が倒れた。



























「ハム男ォォォォ!!」

「オイぃぃ、駄キャラが無駄にシーン使うんじゃねーよ!!」

「ハムの食べすぎよ!」

「!」




























一応ボケてはみたけど、多分この人…、酔ってるわけでもハムの食べすぎでもない。


























「あー、もういいからいいから。あと俺やるからお客さんはあっちいってて。…ったくしょーがねーな。どいつもこいつもシャブシャブシャブシャブ」




























店員はハム男を連れて行こうとする。



























「シャブ?」

「この辺でなァ、最近新種の麻薬が出回ってんの。なんか相当ヤバイらしいからお客さんたちも気をつけなよ」

「…シャブ…、ねェ…」

「…銀さん、遅いですね」

「アイツなら大丈夫よ。問題は…私たちかな」

「え?」

「じっとしてな」




























周りに気配を感じる。

いくつもの目が、こっちを見てる。




























「私、銀ちゃん探してくるヨ!」

「あっ、神楽!ダメ…」




























言おうとしたときにはもう遅かった。

神楽には銃が向けられている。




























「てめーらか、コソコソかぎまわってるやつらってのは」

「なっ…なんだアンタら」

「とぼけんじゃねーよ。最近ずーっと俺たちのこと嗅ぎ回ってたじゃねーか、ん?」

「そんなに知りたきゃ教えてやるよ。宇宙海賊"春雨"の恐ろしさをな!」

「アンタこそ、後悔しないでね。喧嘩うったこと」

「上等だ!」




























敵の半分ほどは数秒もかからずに蹴り倒した。

























「オイてめェ!このガキがどうなってもいいのか!!」


























そんな声に振り返ると、新八が捕まっていた。



























「新…」

「さん後ろっ!!」




























遅かった。

頭を殴られふらついたところを、後ろから薬をかがされた。

意識を手放す前に、神楽と新八も同じようにされるのが目に入った。




























「オイ、この女は多く吸わせとけ!」





























意識を失うと、何も分からなくなったけど、抱えられた感触と、かすかに「!」と呼ぶ銀の声だけが分かった。

























「ぎ……ん……」




























私は非力だ。

今も、昔も。




























護れない。

何一つ護れない。