沈んでいく意識の奥深く、私は多分、遠い過去を思い出していたんだと思う。
その証拠にほら、頬に涙の跡が残ってる。
第十三訓 泣いたふりには目薬が必須
頭がぼーっとする。
体が浮いている気がする。
深く考えられない。
どうしてだっけ…。何が…。
頭が痛い。
手足が動かない。
なんで…?理由が…思い出せない。
また意識がなくなりそうだ。
「!」
ああ、またこの声だ。
誰…?
意識を手放す前に聞いた声だ。
昔から聞きなれた声だ。
いつも私を助けてくれるやつの声だ。
やめてよ…。
アンタの声は響くから…。
頭が痛いんだって言ってるでしょ…。
あれ…これ二日酔い…なわけないか。
沈んでいっていたはずの意識は、少しずつ戻ってきている。
視界もだんだんとはっきりしてきた。
目の前には新八と神楽がいる。
ああそうか。私ってば、ヘマやらかして、海賊に捕まったんだった。
確か、"春雨"とかいってた…。
「こ奴らがぬし達の周りをかぎ回っていた連中か?」
「ええ」
部屋に二人入ってきた。
「もう一人、妙な侍がいましたが、そっちの方は騒いだ客と一緒に始末しました」
妙な…侍…?
銀のこと!?
その後の会話は聞いてない。
ただ、転生郷とか、幕府とか利益とか、スキャンダルになりそうな単語がいくつかあったのは耳に入った。
「オイお前、メガネのガキとチャイナ服のガキを連れて来い」
「はい!もう一人の女は…?」
「おいておけ。そいつは目覚められると困る」
ああ、だめ…まだ体が…動かない!!
どうにか動こうとじたばたするが、そのとき気づいた。
薬のせいじゃない…、めっちゃ縛られてる!!
「ん…っ」
ちっくしょ…はずれない!
「…?」
突然声がした。
口もふさがれていてしゃべれない。
「んー!んんっ!!」
「ヅラじゃないキャプテンカツーラだ」
「んーんんんんーんんんんんん(そんなこといいからたすけて)」
「まかせておけ」
何で通じるのかはこの際ムシだ。
「立てるか、」
「なんとか…ね、ありがと」
「ああ。俺は今から麻薬を燃やしてくるが、お前はどうする」
「…私は、春雨にお礼しにいこうと思ってる」
「…そうか」
「うん、じゃあ、後で」
さァ、お返しにいこうじゃない。
いつものようには動けないけど、私は走った。
途中でいろいろ絡んでくるやつらがいたけど、とりあえずのしてから進んだ。
「こんにちは、坂田銀時です。キャプテン志望してます。趣味は糖分摂取、特技は目ェ開けたまま寝れることです」
「銀さん!!」
「こっちも気をつけてねー!」
「ぐはっ」
周りの雑魚どもを蹴りで倒しまくる。
「ちわー、お世話になりましたでーす」
「お前、動けたのか!?」
「さん!!」
ドーンと爆発音。
「なんだ?」
「陀絡さん、倉庫で爆発が!!」
「俺の用は終わったぞ、あとはお前の番だ銀時。好きに暴れるがいい。邪魔する奴は俺が除こう。、手伝え」
「てめェは…桂!」
「違〜う!!俺はキャプテンカツーラだァァァ!!」
「やれェェェ!桂のクビをとれェェ!!」
「させるかァァ!!つーかヅラァ!アンタ私に命令すんなコラ!」
「てめーら終わったな。完全に"春雨"を敵にまわしたぞ。今に宇宙中に散らばる"春雨"がてめーらを殺しにくるだろう」
「知るかよ。終わんのはてめーだ。いいか、てめーらが宇宙のどこで何しよーがかまわねー。だが俺の剣、こいつが届く範囲は、俺の国だ。無粋に入ってきて俺のモンに触れる奴ァ、将軍だろうが宇宙海賊だろうが隕石だろうが…ぶった斬る!!」
***
「あーダメっスね。ホントふらふらして歩けない」
「日ぃ浴びすぎてクラクラするヨ。おんぶ」
「何甘えてんだ腐れガキども。誰が一番疲れてっかわかってんのか!」
「さん」「アル」
「…二日酔いのうえに身体中ボロボロでも頑張ったんだよ銀さん!」
「僕らなんて少しとはいえヤバイ薬かがされたんですからね!さんなんてもっとひどかったんですよ!」
「…つきあってらんねー、俺先帰るからな。、行くぞ」
「はーい」
「…お前、大丈夫か?」
「多分ね」
距離が離れても神楽と新八は来ない。
「いい加減にしろよコラァァァ!!上等だ、おんぶでもなんでもしたらァ!」
とてもすごい勢いで奴らは走ってくる。
「元気爆発じゃねーかおめーら!!」
「銀ちゃん私ラーメン食べたくなってきたヨ」
「僕寿司でいいですよ」
「バカヤロー誕生日以外にそんなもん食えると思うなよ!!…たくよ〜、重てーなチクショッ。おら、手ェかせ」
「はー?」
「今日ぐらいいーだろ」
「…はいはい」