「はい、もしもし、万事屋………土方さん?」
突然かかってきた電話。それはまさかの土方さんからでした。
第二十八訓 ベルトコンベアには気をつけろ
「ごめんねー、アイツらが迷惑かけて」
私が屯所についたときには、銀、神楽、新八の三人はすでに木につるされていた。
「まったくだ。つーか何であんなバカなことする前にとめなかったんだ?」
「とめたよ?でも私の言うこと聞かなくてさぁ…」
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「はァ………」
「どうしたんですか?ため息なんてついて」
「…新八…コレ…見てくれる?」
新八に渡したのは通帳。
それも…
「残額ゼロ!?どうしてこうなったんですか!?」
「残額ゼロだァ…!?どういうことだよ!」
新八の叫びに反応して銀も通帳を覗く。
「この多額の出費は何だコレ!」
「…原チャリの修理費」
「…銀さん」
「ちゃん…じゃあコレは?」
「…たびたび壊れる玄関の修理費」
「なんかその…すいませんでした」
「わかればいいよ。でもね…依頼!なんでないの!少しは仕事しろよ稼げよ!」
「いやちゃんの収入は俺の収入だろ?」
「そんなジャイアニズムはいらないから」
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「そんな感じで何か良い仕事ないか話し合ってたらこうなって」
「いや人騙して儲かろうとすんなよ」
「とりあえず儲かりゃいいのよ世の中金!」
「そんな顔して何どす黒いこと言ってんのお前!」
そんな中、近藤さんが話しかけてきた。
「おいトシ、そろそろ降ろしてやれよあいつらを。いい加減にしないと総悟がSに目覚めるぞ」
「何言ってんだ、アイツはサディスティック星からやってきた王子だぞ。もう手遅れだ」
「そんなこと言わずにさァ…降ろしてくれないと稼ぎ手が減るんだよねェ…」
「お前はそればっか言ってんじゃねェ」
私の説得のおかげか、奴らの縄は解かれた。
「本来ならてめーらみんな叩き斬ってやるところだが、生憎てめーらみてーのに関わってる程今ァ俺たちも暇じゃねーんだ、消えろや」
「あー、幽霊怖くてもう何も手につかねーってか」
「かわいそうアルな。トイレ一緒についてってあげようか?」
「武士を愚弄する気かァァ!!」
いや愚弄も何も幽霊にやられてちゃバカにされるわ。
「トイレの前までお願いしますチャイナさん!」
「お願いすんのかィィ!」
「新八、ツッコミ役とられてるよ」
「いや、向こうのボケは向こうに処理してもらいます」
そんなことを言っているうちに、近藤さんと神楽は中に入ってしまった。
「てめーら頼むからこの事は他言しねーでくれ頭さげっから」
「…なんか相当大変みたいですね。大丈夫なんですか?」
新八が声をかける。
「情けねーよ。まさか幽霊如きで隊がここまで乱れちまうたァ。相手に実体があるなら刀でなんとでもするが、
無しときちゃあこっちもどう出ればいいのか皆目見当もつかねェ」
土方さんは語ってるけど、銀はニヤニヤしている。
「え?何?おたく幽霊なんて信じてるの?痛い痛い痛い痛い痛いよ〜お母さ〜ん。ここに頭怪我した人がいるよ〜!」
「お前いつか殺してやるからな」
「まさか土方さんも見たんですかィ?」
「あー、赤い着物の女?」
「わからねェ。だが妙なモンの気配は感じた。ありゃ多分人間じゃねェ」
「ふーん…」
納得していると再び銀のからかい。今度は総悟も一緒に。
「痛い痛い痛い痛い痛いよ〜お父さ〜ん!」
「絆創膏持ってきてェェ!!できるだけ大きな、人一人包み込めるぐらいの!」
「おめーら打ち合わせでもしたのか!」
「ほんと呆れるぐらい息ぴったりだし」
「そういえば、赤い着物の女の怪談がありましたね」
「か…怪談!?」
「何だァ、この暑いのにくっついてくんなよ」
「私がこういうの苦手って知ってるでしょ!」
「へェ…苦手なんですかィ」
「笑うな総悟!」
すると新八がしゃべりだした。
「夕暮れ刻にね、授業終わった生徒が寺子屋で遊んでるとね、もう誰もいないはずの校舎に、赤い着物を着た女がいるんだって」
掴んでいる銀の袖をさらに強く握る。
「それで、何してんだって聞くとね…」
「ぎゃあああああああああ!!」
「きゃあっ」
オチとかぶった叫び声に悲鳴を上げる。
「……近藤さん?」
聞こえた叫び声の主は近藤さんだった。
「神楽どーした!!」
「チャックに皮がはさまったアル!」
「あ!?」
ドアにかけよった土方さんは思い切りドアを蹴り開ける。
「どけ!」
中を覗けば、近藤さんは便器に頭をつっこんでさかさまになっていた。
「なんでそーなるの?」
つぶやかれた疑問に答えられるものは誰もいなかった。
(10.10.31)
久々な更新の上に夢主空気、そして原作未読の人に厳しいお話仕様になっております←