夢を見た。心が躍るくらい嬉しい夢ではなく、悲しい夢。怖い夢。今は思い出と化した、あの頃のことだった。追いかけても追いかけても追いつけなくて、私が追うあの人たちの背中は、どんどんと遠くなって、最後は消えてしまった。私はそれが悲しくて悲しくて、夢から醒めるまで、夢の中で泣いていた。























体を起こしてみれば、まだ外は薄暗いようで、部屋はまだ暗い。ふう、とため息をつくと、聞こえてくるのは隣で眠る銀の規則正しい寝息。























「…もう一回寝ようかな…」
























もう一度布団に潜ろうとすれば、その音に反応したのか、銀が少し目を開けた。























「起こした…?」

「…どーした」
























いつもだったら目が覚めてもそのまま眠るのに、こういうときだけは勘が鋭い。まだ眠そうに頭をかきながら、体を起こす。























「ううん、何でもない」

「あ?んな顔してねーだろ」
























もう一度どうした、と優しく聞いてくるものだから、さっき見た夢の悲しさを思い出す。























「」























うつむいていた顔を上げれば手招きをして腕を広げる銀。いつもだったら、バカじゃないの、と言って無視するところではあるけれど、どうしても寂しくて、ぎゅっと抱きつく。























「うおっ…」
























それが少し予想外だったようで、銀が驚いているのが分かった。それでもちゃんと受け止めて、そして背中に腕を回してくれた。























「…夢、見ちゃって、さ」

「…ああ」

「みんな、いなくなっちゃうんだ」
























そう、あの頃の仲間が、私に背を向けてみんな遠くへ行ってしまう。一番最後は銀で、振り返りもせずに私を置いていく。さよならだ、そう昔に言われた言葉が、今も耳に残って離れない。夢の中の銀にも、そう言われて、置いていかれた。























「…もう、置いて…いかないで」
























言わずにはいられなかった。置いていかれたときの寂しさ、一人ぼっちの怖さはもう、あの時に知ってしまったから、もう一度経験することなんて多分耐えられない。























「置いてなんて行かねーよ」
























そう言って、銀は背中に回した腕の力を強くした。























「今度は俺がを護ってやるから、心配すんじゃねーよ」
























それを聞いて、私は言った。























「護られるだけなんて、嫌。私だって銀を護る」
























護られるだけじゃ、あの頃と同じ。銀の、重荷になるだけ。私はみんなを、そして銀を護りたい。大切な人を護るために強くなったんだから…。























「…そーかい」
























銀は少しだけ、嬉しそうに笑った。























「このままにしといてやるから、もう一回眠れよ、」

「…じゃあ、お言葉に甘えて…」
























銀は、柔らかく頭を撫でると、おやすみ、と言った。次は良い夢を見ることができそうだ。































夢から醒めて

























夢は若干過去と関連

珍しく素直な展開です