「こんにちは、幾松さん」
「あらいらっしゃいちゃん、久しぶりじゃないの」
「うん、やっと仕事が落ち着いたの」
「随分と忙しそうだったものね」
「ええ」
ここは行きつけのラーメン屋。女店主の幾松さんとは仲良しで、味もいいしでよく来るお店だ。でも最近は仕事が忙しくて来ることができなかった。
「働きすぎもいい加減にしないと、倒れちゃうわよ」
「大丈夫よ、私頑丈だから!それに、幾松ちゃんが作ってくれるラーメンで元気出るし!」
「まったく…、そういうところは相変わらずね」
「そんなにすぐに変わってたらビックリよ」
「それもそうだわ」
久しぶりの会話を楽しみながら、出されたラーメンに手を伸ばす。
「たのもーう」
そんな時、ラーメン屋の戸が開いた。
「また来たのアンタ」
戸を開けたのは、長髪の、どこかで見た顔、…と不思議な白い…、生き物?
「あっ!狂乱の貴公子…、桂小太郎!?」
「ぬっ、誰だ貴様は!」
「ぬっ、じゃないわよ!私に見覚えないの!?」
本当に覚えがなさそうに首を傾げるこの長髪男。うっとおしくないんだろうか、私でさえもそんなに長くないのに。あのツヤが羨ま…羨ましいなんてそんなこと思ってないし!別に全然そんなんじゃないし!
「まさか…」
「ええ」
「まさか幾松殿の妹殿か!」
「そう、私は……、ってアホかァァァ!!」
なんでどうしてそうなるんだよ!いっつも会ってんじゃん!よく会ってんじゃん!みんなで会ってるじゃない!
「ではまさか姉君」
「違うってば!真選組!いっつも追っかけてやってんでしょ!?」
「追っかけ!?貴殿は俺のフアンなのか!」
「違うっつの!しかもフアンって言い方古い!」
忙しい私の仕事、それは武装警察真選組の副長補佐。デスクワークも多い上によく仕事をさぼる一番隊隊長を連れ戻したり、そして桂を追いかけたり。
「真選組って言ってるでしょ!」
「何!?真選組だと!?」
「ちょっと、暴れるつもりなら外に行ってよ」
「幾松殿、それは酷だぞ」
「もー!なんでこんなとこにもいるのよ!攘夷志士らしいとこにいなさいよ!」
「何を言うか副長補佐、殿。俺は攘夷志士らしいではないか!」
「知ってんじゃない!何で知らないふりしてんのよ!」
幾松ちゃんは言い合いをしている私達を見てため息をついた。
「殿、とりあえずここは折衷案として一緒にラーメンを食べぬか」
「どんな誘いだ!あんたがいると休みの気分じゃないのよ!どっか行けば!?」
「よし、それではラーメンを一緒に食べようではないか」
「アンタのせいで私のラーメンはのびちゃったのよ!」
その後、なぜか敵である攘夷志士と一緒にラーメンを食べた私。
それから何度かラーメン屋に来ると、必ず桂に会うようになりました。なんだか妙な親近感も沸いちゃって…。はぁ…、私、敵なんだけどなァ…。
友情?
あれ?真面目に書こうと思ったのに…
あと2日!