「だーんちょーう」
「ん?」
「覚悟ォォォォォ!!!」
「またやってんのか」
俺たちの朝は大抵こうして始まる。ああ間違えた、俺たち、じゃない、あいつらだ。すっとこどっこいの我らが団長神威。そしてこれまたすっとこどっこいのやつの部下。俺もまたやつの部下ではあるが、この女より立場は上だ。
「ちょっと団長!いい加減殺られてよ!」
「無理だよ、だって弱いじゃないか」
「ばーか!そんなこと言ってたらいつの間にかアンタの首ないかもだからね!」
「それ前から言ってるけど」
「うるさい団長!」
「いやお前がうるせェよこのすっとこどっこい娘が」
朝っぱらから毎日毎日懲りることなく神威に攻撃を仕掛ける小娘、。一応人間、らしい。地球産の女にしちゃあこいつも強ェんだろうが、何しろ相手が悪い。団長は軽くあしらってはをからかう。これがまた悪い。それはさらにこの小娘を挑発するだけであって、この朝のじゃれ合い(こいつを戦いなんて、俺は絶対言わねェ)を終わらせることなんてできやしねェ。
「いってててててて!団長!ギブ!ギブギブ!!痛いって団長!関節外れるって!!」
「が向かってきたんだろ」
「ごめん!ごめんって団長!今日はもう諦めるからァァァ!!」
今日だけじゃなくてもう諦めろよ。
そんなことを心の中で呟いたのは、何度目だろうか。
「痛い痛い痛い痛い痛い」
「何度団長にやられれば気が済むんだおめェは」
「団長を倒すまでだよ!そんなことも分からないの?ダメじゃん阿伏兎」
「先輩をつけろバカ。それになァ、おめェみてェなやつが団長を倒せるわけねェだろ」
「…分かってないな阿伏兎はー」
「だから先輩をつけろこのすっとこどっこい」
一番最初にこいつが団長にかかっていったときの傷、それを自分で手当てしている様子を見てから、俺はこいつの手当て係になってしまった。こいつの手当ては手当てじゃない。ただ包帯をぐるぐる巻いて、しかも傷のねェところまで巻きやがって、包帯人間になってやがった。救いようのねェバカだ。
「いい加減諦めるんだな」
「あっれもしかして心配して言ってくれてるの先ぱーい」
「馬鹿にしてんのかてめェは」
「大丈夫だって!」
手当てが終わるとすぐに奴は駆け出した。
「心配…?んなわけねェだろーが。……いつまで手当て係させるつもりだァ!!」
「団長、覚悟ォォォォ!!!」
「、そろそろ俺に一発ぐらい食らわせてもいいんじゃない?俺無傷なんだけど」
「じゃあちょっとくらい止まってよ!」
「そんなことするわけないだろ」
「もう…!」
「あー、…もう勝手にやっとけ、このすっとこどっこい共が」
云業が死んでから(団長のせいで)、あいつらと一緒に行動するのがどれだけ大変なのかが見にしみてわかった。悪かったな、云業。
じゃれあい
阿伏兎語りにしてみたら、ギャグまっしぐらになりました。
なんでこうなるんだろう…。
映画公開まであと3日ですね!
新訳なので楽しみです。
というわけで、神威&阿伏兎でした!