あいつをはじめてみたのは、ある晴れた日の午後、街中の路上だった。あいつはたった一人で、でもとても楽しそうに歌っていた。自分の夢に向かっていく、輝いているあいつに目を奪われたのを覚えている。
「ねえ雅治」
「何じゃ?」
「私ね、今度デビューすることになったんだ」
「ほう、そうか」
だから彼女が自分の夢をかなえたことを聞いて、とても嬉しかった。
「え、何よそれだけ!?」
「冗談じゃ。よかったのう、おめでとう」
クスリと微笑み頭をなでる。嬉しそうな横顔がとても可愛いと思ったのは言ってやらん。
「頑張るんじゃぞ」
「うん、分かってる」
「売れんくてもへこたれるんじゃなかよ」
「もーっ、最初からそんな心配しないでよ」
「大丈夫じゃ、お前さんなら」
「ふふっ…、ありがと。雅治のおかげだよ」
「褒めんでもいいきに」
「ほんとだもーん」
無邪気に笑う君を、きっと他の男も可愛いと思うんじゃろう。
「どうしたの、雅治?」
「離れるんじゃなかよ?」
「…当然だよ!」
そして俺たちは唇を重ねた。
DREAM COMES
TRUE